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Moi Moi

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無償で受けられる教育

フィンランドの学校で授業を見ていると全員が同じノートを使っていることに気づきます。ノートがなくなった生徒は、先生から新しいものをもらっていました。


フィンランドでは、日本と同様に小学校1年生から中学3年生までが義務教育であり、どの子供も教育を受ける権利があります。そして、教育を受ける際にかかる費用はすべて無償です。(ちなみに大学まで無償。)授業料、教科書はもちろん、給食費や交通費も。学校で使うノートや鉛筆、消しゴムも買う必要はありません。


本当に1€も出す必要がないのか?
実際のところ、過去にある学校でこんなことがあったそうです。
学校行事としてバスで移動する必要があるけれど、予算が足りないので1人20€(約2300円)ずつ徴収することに決定。でもこれは任意。強制はされませんし、もちろんどの家庭が払っていないなど公表されることもありません。ある家庭からは20€なんて高すぎるという意見も出たそうです。


フィンランドの教育で注目すべきところは学力の高さだけではなく、学力格差の小ささだと思います。できる子を伸ばすことよりも支援が必要な子に手厚くサポートをします。そして、どのような家庭の下に生まれたかが、学力へ影響することがほとんどありません。すべての子どもに、その子どもに合った教育を無償で受けることができるような教育制度が確立しています。


もし、学校へ行くことが困難であったり何らかの問題が生じた場合は、教員、保護者、生徒だけではなく心理カウンセラーやソーシャルワーカー、時には医師など状況に応じて必要な専門家が集まり、その子どもにとって良い選択は何か、どんな支援ができるかをみんなで話し合います。もちろん最終的な決定権は子どもと保護者にあります。とにかくその子どもをサポートすることに徹するのです。子どもを学校に合わせようとするのではなく、学校が子どもに合わせる努力をします。学校には、その子どもが自身の個性に合わせて成長していける環境を整える責任があります。また、フィンランドではほとんどが公立学校ですが、私立学校や特別なニーズに合わせた学校であっても無償で教育を受けることができます。「公立学校が合わないなら他へ行っていいよ。でもその場合は自分でお金出してね。」とはなりません。どの子どもも、その子どもに合った教育を無償で受ける権利があるので、そこから外れることはありません。全ての子どもへ教育の場は開かれており、全ての子どもは国によって守られています。


フィンランドではフリースクールやオルタナティブスクールなど様々な教育の場が用意されているのではなく、公立学校の中にその子どもに合わせた新しい教育を取り入れようという方針をとっています。公立学校だからこうでなければいけないという規定が極めて少なく、教員の裁量で子どもに合わせた教育を公立学校の中で行うことが可能です。まずは公立学校の中でできる限りの支援をし、それでも困難な場合は別のスペシャルスクールと呼ばれる学校へ行くことになります。そこで学ぶ場合ももちろん無償です。


登校が困難な生徒へ支援をすることは日本も行なっていることですが、目標としているところが違うように感じます。日本は子どもを学校へ適応させる努力をするのに対し、フィンランドは学校が子どもに合わせる努力をします。
フィンランドでは1990年代に大きな教育改革を行いました。その時に学校や教師に自由な裁量を与え、現場を信頼し、現場に任せる方針を取ったのです。その方針によって確立したのが、今のフィンランドの学校教育です。


日本では1990年代から学校へ登校しない「不登校」と呼ばれる子どもが急激に増え、彼らは「学校へ登校できない問題のある子ども」として扱われてきました。大人たちの目標は、その子供を学校へ適応させることだったからです。適応させようと試みても状況が変わらない場合、保護者はその後どうしていけば良いのかと悩み、子供は学校に行くことができない自分をさらに責め続けます。ですがそれは、国が定めた画一的な教育を受けることを善とした教育制度から生まれた苦しみでしかありません。
今、既存の学校が合わない子どもに合わせ、その保護者や教員を始め、多くの人が民間の力で新しい学校をつくっています。それによって、多くの子どもが自身に合った教育を受ける機会を得ています。けれどその新しい学校へ、国からの補助はありません。新しい学校へ通いたいと子どもが願っても、様々な理由でそれが困難な家庭もあります。

 

画一的な教育から、多様な教育へ。国は、一人一人の子どもに合った教育を無償で受ける権利を保障する必要があると私は思っています。
長い目で見たときに、必ずそれが国を支える力になるはずです。